実施動画&レポート 松坂屋小学校 第16回キッズサイエンス 名大生と分子のチカラでアフリカを救おう!「親子カードゲーム&ラボツアー」名古屋大学ITbM-モレキュリアス
2022年5月28日(土)に開催した 名古屋大学との共催イベント
キッズサイエンスの実施レポートをお届けします!
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【実施レポート】
今回はトランスフォーマティブ 生命分子研究所「WPI-ITbM」で活動を行なうグループ「モレキュリアス」に所属の学生のみなさんと子どもたちとで、一緒にカードゲームを実施!
はじめに、子どもたちと学生のみなさんで楽しくカードゲームをするために、自己紹介をしました。その後、ITbMのアウトリーチ担当の三宅恵子さんから今回のカードゲームの主役「ストライガ」について紹介いただきました。
ストライガは植物の一種で、寄生植物と言われており、特に小麦やとうもろこしなどの穀物に寄生して栄養を奪って枯らしてしまいます。アフリカでは非常に困った問題となっており、現地の人々からは「魔女の雑草」とも呼ばれています。ストライガはアフリカの食糧問題の一因と言われており、アフリカでは今も多くの人々が栄養不足になっています。
このストライガですが、土の中にすでに無数の種子が広がっているため、駆除は極めて難しいとされています。さて、この問題をどのように解決することができるでしょうか?
その解決策が人工的に作った分子「SPL7」になります。アフリカの土の中は、リンなどの栄養分が不足しているため、穀物はより広く効率よく栄養分をとりこむために根に菌根菌を共生させています。穀物はその菌根菌呼び寄せるために、ストリゴラクトンという物質を根っこから出しています。
ストライガはこのストリゴラクトンという物質を手がかりにして、穀物の存在を感知し発芽・寄生します。この特性を踏まえて、穀物を植える前に「SPL7」を土にまいていきます。そうすると、ストライガの種子が刺激されて発芽していきますが、寄生相手の穀物がないため、発芽したストライガは自然に枯死していきます。
ストライガが枯死した後に、穀物を植えることで、穀物は寄生されることなく育つことができるのです。「SPL7」の活性は凄まじく、実験室内では、琵琶湖いっぱいの水に対してスティックシュガー3gを溶かしたくらいの濃度で発芽を刺激することがわかりました。
実際に、この分子の力を学ぶために、今回はカードゲームを行いました。「モレキュリアス」に所属する学生がテーブルごとにサポートを行い、親子同士で対決。子どもたちも大人もとても楽しく学ぶことができたようでした。
ゲームの後、カードゲームのテーマでもある、世界の食糧事情を三宅恵子さんから教わりました。
先進国だけでも食料のフードロス(捨ててしまう量)はなんと2億トン、サハラ以南の食料生産量と同じくらいの量になります。その中でも、まだ食べられるのに捨てられる食べ物の量は年間643万トン、日本人一人あたりに換算すると毎日おにぎり1〜2個分を捨てている計算になります(出典:日本の食品ロスの現状(平成30年度)、農林水産省)。
今回のような分子による食糧問題の解決は、SDGsの「1.飢餓を無くす」「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」の項目にもつながることであり、カードゲームを通して学ぶことで少しでも食糧問題をみんなで解決する意識につながって行くことが考えられます。
カードゲーム後は、特別にトランスフォーマティブ 生命分子研究所「WPI-ITbM」のラボ内を案内いただきました。普段では見ることができない研究施設を見学できて、貴重な体験をすることができました。
【ストライガカードゲーム】*******************************************************************
・企画/立案:三宅恵子、遠山祥史、髙橋一誠
・デザイン:髙橋一誠
・研究情報・資料提供:土屋雄一朗・森川彰
・開発協力:後口遼、神作八起、中田奏未、松本昇子、小林耕平
・イベント協力:三宅恵子、遠山祥史、中田奏未、松本昇子、小林耕平、成瀬美玖、福井北斗
・制作・著作:名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)
リサーチプロモーションディビジョン
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