その六十三　大阪 高島屋東別館の建物はかつて松坂屋 大阪店の店舗だった！

＃松坂屋ヒストリア小話　その六十三

建築家・鈴木禎二の名建築といわれる髙島屋の東別館は、その昔松坂屋大阪店の店舗だった。

松坂屋 大阪店建物外観（1954年）

大阪 日本橋の髙島屋東別館は、2020年（令和2）1月のリノベーションにより、新たに外資系サービスレジデンス（滞在型ホテル）やフードホール、リニューアルした髙島屋史料館などがオープンし話題となっている。この建物は、古典様式にアール・デコ調の装飾デザインが取り入れられ、特に堺筋に沿って続く11連アーチのアーケードや所々に施されたアカンサスの葉をモチーフにしたテラコッタの装飾、内部のエレベーターや階段まわりの細やかな装飾など、建築的に価値のある見所が随所に残っている歴史的建築物で、2019年（令和元）には国の有形文化財に登録され、2021年（令和３）５月には国の重要文化財に指定内定となった。そんな建築マニアからも注目される髙島屋東別館だが、実はこの建物はかつて松坂屋大阪店の店舗だったのである。日本橋の松坂屋大阪店は東海の「近代建築の父」といわれた鈴木禎次の設計による増築工事により、1937年（昭和12）西日本最大規模の荘厳華麗な建物の百貨店として開店し、戦時中の空襲にも耐えたものの、戦後は業績不振のため1966年（昭和41）天満橋に移転開店することとなり、建物は1968年（昭和43）に髙島屋東別館として再開設されたのである。そのため、2021年度重文指定の建造物名は「戦前の大阪を代表する百貨店建築「旧松坂屋大阪店」（髙島屋東別館、大阪市）」とされている。前述のとおり、建物の芸術的ともいえる内装・外装の一部はそのまま残されているため、機会があればぜひお立ち寄りいただき、同館3階の髙島屋史料館（入館無料）などもあわせてご見学されてはいかがでしょうか。（高島屋史料館のHP：https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/）

松坂屋 大阪店当時の１階大階段（昭和9年）

松坂屋 大阪店 当時のアーケード（昭和12年）