その三十九 「裂(きれ)」も貴重な文化遺産!
#松坂屋ヒストリア小話 その三十九
松坂屋コレクションの「時代裂」は400点以上を数え、その8割は未公開の貴重な文化遺産である。
松坂屋コレクションといえば江戸時代の小袖や能装束など衣裳のことだと思っている方がほとんどですが、実は衣裳だけではありません。約1500点を数えるコレクションの中で、「時代衣裳」は約800点と最も多いのですが、次に多いのが約400点の「時代裂」で、そのほか能面や雛形本なども含まれています。実は2番目に多い「時代裂」は、松坂屋京都仕入店が閉鎖するまでは3,500点以上にのぼる膨大なコレクションを形成していましたが、平成22年に京都仕入店が閉鎖した際に3,000点以上を外部の博物館などに寄贈しているため現在の点数となりました。時代裂についても衣裳と同様に、松坂屋がオリジナル呉服の創作に役立てる目的でデザインソースとして収集されたもので、松坂屋がこれまで手がけてきた着物のデザインはここから生まれたのです。そしてそれらは松坂屋の企業秘密でもあったため、収集開始した昭和6年から80年以上にわたり公開されることはありませんでした。学術文化の振興寄与の目的の下、現在、松坂屋コレクションは一般公開されていますが、それでも時代裂については、コレクション中最古の天平時代裂など多くの裂が未公開のままとなっており、今後、機会があれば、より多くの裂を展示して参ります。
羽子板模様小袖裂
菱に雪持竹模様 唐織能装束裂