その三十七 松坂屋コレクションは企業秘密だった!
#松坂屋ヒストリア小話 その三十七
昭和初期に収集された文化遺産「松坂屋コレクション」の数々は、近年まで門外不出の企業秘密だった。
J.フロントリテイリング史料館が現在所蔵している約1,500点の松坂屋コレクションの数々は、以前は一般に公開されることなく密かに保管されていた企業秘密ともいえるものだったのです。現在松坂屋コレクションとして伝えられる時代衣裳や時代裂の数々は、昭和6年~14年にかけて松坂屋京都仕入店の担当者たちが社運をかけて収集に奔走し、加賀前田家、洋画家・岡田三郎助、染織工芸家・岸本景春ほか、全国の著名な染織品コレクターの方々から購入したものですが、もともと収集の目的が、同業他社には真似のできない当代最高の松坂屋オリジナルの着物を制作をするにあたり、京都仕入店のデザイナーたちが意匠・デザインの参考品とすることにあったことから、収集された染織品の数々は一切外部に公表されることなく、戦中・戦後を通じて京都仕入店内に大切に保管されてきたのです。現在はわが国の学術文化の振興に寄与することを目的に、広く一般公開されています。2008年に「小袖 江戸のオートクチュール」展で308点のコレクションを名古屋・東京・大阪の3ヶ所の博物館、美術館で初公開して以来、毎年いくつかの展覧会に松坂屋コレクションを出品しています。
京都仕入店(昭和6年)
京都仕入店集合写真(昭和6年)
2008~2009年にかけて名古屋・東京・大阪で開催された展覧会のチラシ