その十六 洋画家 岡田三郎助の代表作「あやめの衣」の衣装は松坂屋コレクション!
#松坂屋ヒストリア小話 その十六
郵便切手にもなった岡田三郎助の美人画「あやめの衣」の衣装は、松坂屋コレクションの所蔵品となっている。
明治、大正、昭和の三代に亘って画壇に重きをなした洋画家・岡田三郎助(1869~1939、享年70歳)は、「婦人像の岡田」「美人画の岡田」と称えられ、日本近代洋画史に大きな足跡を残しましたが、時代衣装のコレクターとしても知られています。この岡田三郎助の代表作「あやめの衣」(昭和2年)は昭和57年発行の郵便切手の図案にも採用され、岡田の美の到達点ともいえる名画としてとりわけ有名ですが、この絵のモデルが着用していた衣装「納戸縮緬地八橋文様小袖」も岡田三郎助のコレクションのひとつでした。この小袖は後に松坂屋が譲り受け、現在は松坂屋コレクションとなっています。このほか「あやめの衣」の翌年に制作された婦人画「来信」(昭和3年)のモデル着用の衣装「紫縮緬地檜扇蔓牡丹文様振袖」や、紅型の逸品「鬱金布地市松枝垂桜鶴燕模様」など、岡田三郎助が長年に亘り蒐集した時代衣装のうち約130点もの貴重な衣装が現在は松坂屋コレクションとして保存管理されているのです。
八橋に杜若模様小袖(松坂屋コレクション)