その十五 新選組の土方歳三は松坂屋で奉公していた!
#松坂屋ヒストリア小話 その十六
幕末最強の剣客集団・新選組副長であった土方歳三は、幼少時代は松坂屋(上野店)で丁稚奉公していた。
幕末から近代における松坂屋の歴史秘話のひとつに新選組副長・土方歳三(1835~1869、享年34歳)との関わりがあります。武蔵多摩郡石田村(現東京都日野市)の富農の子として生まれた土方歳三が上野の「いとう松坂屋」へ奉公にあがったのは、弘化2(1845)年のこととされ、数え11歳のときでした。ところが些細なことで番頭と衝突し、そのまま生家に戻ってしまったとのことです。それから数年を経た嘉永4(1851)年、17歳になった歳三は、今度は当時松坂屋上野店の支店であった木綿問屋・亀店(かめだな)に勤務したとのことです。その後歳三は松坂屋を離れ左幕活動に身を投じますが、もし松坂屋で生涯を全うしたならば、幕末の歴史は随分と違ったものになっていたのではないでしょうか。なお土方歳三が奉公にあがっていた時代の、いとう松坂屋の外観が歌川広重の「東都名所 上野広小路之図(1839~1842年)」に画かれています
土方歳三
「江戸買物独案内」(1824年)の中の亀店