美術が大好きな稲田さんと巡る、国内百貨店初のワンフロア型”アート空間”
アート作品に触れたいとき、多くの方は美術館や博物館へ足を運びますよね。
お買い物をしながらアートに触れられる空間があったら、とても素敵だと思いませんか?
松坂屋名古屋店では、アート作品をより身近に、たくさんの人へ届けたいという熱い想いを持った、アートを愛する方々が活躍されています。
こんにちは、金城学院大学の「ゆあ」と「りの」です。
今回ご紹介するのは、2024年12月10日にオープンしたばかりのアートフロア「ART HUB NAGOYA」を担当されている稲田さんです。
”国内百貨店初のワンフロア型アート空間”の実現を支えた稲田さん。グランドオープンを迎えるまでに、たくさんの苦労があったそうです。
また、アートが大好きな稲田さんと巡るアート空間は、美術に馴染みのない私たちでも楽しめる、素敵な作品で溢れていました。
今回の取材では、稲田さんの現在のお仕事との出会いや、お仕事への向き合い方など、貴重なお話をたくさんうかがいました。
この記事を読んでくださったみなさまにも、ぜひ「ART HUB NAGOYA」に足を運びたいと思っていただけたら嬉しいです!
「ART HUB NAGOYA」とは
松坂屋名古屋店の美術売場で働いている人は、外販(アウトセールス)・店頭販売・仕入(バイヤー)・売場マネジメントの4つの職種に分かれています。
稲田さんはその中の店頭販売と仕入担当をご経験し、現在は、仕入のサポートや、店頭販売の方への美術品の販売の仕方、知識の伝達、マネジメントラインと一緒に新しくなった売場の仕組みなどを整備されています。
今までの経験を活かしてこのフロアの中心を担い、マルチにご活躍されている稲田さんに、アートとの出会いについてお聞きしました。
<アートとの出会い>
——稲田さんはもともとアートがお好きでしたか?
稲田さん:アートは子供の頃から好きでした。小さい時は、特に絵を描くことが好きだったのですが、絵描きになりたいと思ったことはありませんでした。次第に、絵を描くことよりも美術館や博物館へ足を運んでアートを鑑賞することの方が好きになっていったんです。美術に関する仕事を探したとき、学芸員の仕事を知り、大学では学芸員になるために勉強をして資格も取得しています。
幼い頃からの”好き”が続いて今のお仕事に結びついたという稲田さん。お仕事について、楽しそうにお話しされる姿がとても印象的でした。
ではさっそく、本題へ。
国内デパート初のワンフロア型アート空間「ART HUB NAGOYA」とはどんな場所なのでしょうか。
稲田さんと実際にフロアを巡りながら、貴重なお話をたくさんうかがいました。
——リニューアルオープンしたART HUB NAGOYAはどんな売場ですか?
2024年12月10日にリニューアルオープンした「ART HUB NAGOYA」
新設されたオープンギャラリー
アートフロア内にあるカフェ「unique」
稲田さん:松坂屋名古屋店リニューアルの全体環境を手がける永山裕子氏がデザインした日本唯一の「オールアートフロア」です。展示スペースは全部で5カ所。巨匠作家や地元作家の絵画・工芸を中心に展開する「第一画廊」「第二画廊」、幅広いコンテンツ展開ができる「open gallery(オープンギャラリー)」、若手作家の作品展示や活動支援を行う「gallery α(アルファ)」と「artkake ART LAB(アトカケアートラボ)」があります。
さらに名古屋大須で人気のカフェ「だから、今日がよかったと思える。」のオーナーが手掛けたオープンカフェ「unique(ユニイク)」が、永山氏デザインのもとオープンしました。お茶しながら、アート空間を楽しんでいただけます。
百貨店の画廊は、高級感があり、私たち学生には行きにくい場所だと思っていました。しかし、今回リニューアルを経て、より自由でオープンな空間になったことで誰でも気軽に楽しめる場所になっています。地元の美大生が手がけた作品や風船、日本昔話に出てくるキャラクターなど、子供たちでも楽しめるポップで可愛らしい作品が数多く展示されていました。
取材時にはオープンギャラリーの中央には瀧下和之さんの作品が展示。
大迫力な展示はまるで美術館のよう。
私は「ART HUB NAGOYA」でのHUBのような存在です
そんな素敵な「ART HUB NAGOYA」について、さらに深掘りしていきます。
——フロアに込められた想いを教えてください。
稲田さん:「ART HUB NAGOYA」の名前にもあるように、私たちは「東海エリアのアートマーケットのハブ」となり、東海エリアのアートシーンを盛り上げていきたいと思っています。通常だと、我々とお客様だけの狭い範囲でのやり取りや、作家からお客様への一方的なメッセージだけになってしまうのですが、お客様から作家へ還元することも大切にする、その仲介の場になることができればいいなと思っています。
アートの販売だけでなく、地元のギャラリー・芸術大学・企業・行政、そしてお客様を繋げたいという想いがあることを知ると、とても心が熱くなりますね。ここでは若手アーティストの育成もしており、美術の魅力を次の世代へ繋げて行きたいという願いも込められていると知りました。
ここまで、「ART HUB NAGOYA」についてお聞きしていましたが、国内デパート初の試みを成功された稲田さんには、たくさんの苦難があったはず。
ここからは稲田さんの仕事に対する向き合い方についてうかがいました。
——オープンに向けてどんなことが大変でしたか?
稲田さん:フロア設計の図面から、実際に作品を展示した場合を数パターン想定して、展示に必要な壁や台などの大きさや数、照明の数、備品として何が必要か、などを1から考えて決定していくことが一番大変でした。イメージは先方がある程度決めて下さっていましたが、より作品をよく見せるかという部分はこちらが指定しなければいけませんでした。以前勤務していた松坂屋美術館の展示でも、絵画を飾る高さやスポットライトの位置なども決めていたのですが、その経験があったことが今回ととても役に立ちました。
お客様のことを考えて、細かなところまで気を配り、この空間作りをされていたことを知り、とても驚きました。きっとこのお仕事は、今までにさまざまな経験をされてきた稲田さんだからこそ成せることですね。
では、大変なこともたくさんある中で、稲田さんはこのお仕事のどんなところに魅力ややりがいを感じているのでしょうか?
——担当されているお仕事の面白い点はどこですか?
稲田さん:催事が一週間で入れ替わるため、常に新しい作品や作家さんとの出会いがある点です。学生の自由で柔軟な作品から、巨匠作家の圧倒される作品までその幅は本当に広いですが、さまざまな作家さんの考え方をうかがったり、制作技法を学べるところはとても刺激的で面白いなと思っています。
美術が幼い頃からお好きだった稲田さんにはたまらない魅力ですね。
このフロアの強みでもある”繋がり”が、稲田さん自身のお仕事にも影響を与えているのかもしれません。
モチベーションとやりがい
——やりがいを感じるのはどんな時ですか?
稲田さん:お客様から信頼されていると感じた時にやりがいを感じます。最近のことですが、長くお付き合いをさせていただいているお客様が、以前から気になっていた作家の作品を一点、私に選んで欲しいと依頼していただいたことがありました。私が選んだ作品に対して満足していただけましたし、何より信頼していただけていることが伝わり、この仕事をしていてよかったと思いました。
作家さんや作品のことをよく分かっていないと、お客様との関係は築けない。一般の方ではなかなか得られない情報を丁寧に集め、お客様のニーズと合わせて正確に商品提供することに活かすという稲田さんの敏腕さに、感銘を受けました。
最後に、そんな素敵な稲田さんから私たちに向けて、メッセージをいただきました。
学生の皆さんへのメッセージ
——働くことについて学生へアドバイスをお願いします。
稲田さん:私は好きなことを仕事にしたいと思って生きています。好きだからこそ、いろんなアイデアや可能性を見出すことができ、試行錯誤をすることで、”好き”が”得意”に変わっていくと思います。だからこそ、自分が興味のあること、好きなことが含まれる業界に居続けることをおすすめします。近くにいれば、思いも寄らないチャンスが降って来るかもしれません!
私たち学生の中には、趣味と仕事は分けて考えた方がいいのではないかと悩んでいる人もいますが、”好きな事”だからこそ、やりがいや夢を常に抱き、楽しみながらお仕事ができるのかもしれませんね。
取材を終えて
「ART HUB NAGOYA」には、たくさんの魅力が詰まっていました。
美術に馴染みのない方や、私たちのような学生にもおすすめです!
また、そんな素敵な空間を稲田さんと一緒に見学できたこと、とても嬉しく思います。
私自身、将来に悩むことがありましたが、自分が好きな業界に入り、笑顔でお仕事されている稲田さんの姿を見て、憧れの念を抱きました。
私も稲田さんのように好きなものや好きな人に囲まれながら、楽しくお仕事できるように、さまざまなことを経験して、努力を惜しまないでいきたいと思います。
《今回のゲスト》
松坂屋名古屋店 CX推進部
美術担当チーフ
稲田綾乃さん(中央)
趣味は、ドライブ(助手席専門)、温泉巡り、食べ歩き
百貨店の新たな魅力をお届け!
愛知の学生が広報(アンバサダー)となり
松坂屋名古屋店で働く人やコトをご紹介いたします。