【WEBどらま松坂劇場】<北二郎と浴衣で待ち合わせ 〜自分に自信のない貴方に〜>
家事に追われて過ぎていった普段どおりの休日。
もう夕方か、と漏れたため息を打ち消すように、クラクションが響いた。
窓の外を見るとスポーツカーが停まっていた。
持ち主は最近知り合った年下の男の子、北二郎くんだ。
私の視線に気づくとヤンチャそうにニッと笑った。平凡な私には不釣り合いなほどのイケメンだ。
車内の北二郎くんが携帯を耳にあてるのと同時に、電話がかかってきた。
北二郎
「よう。今、出かけられるか?」
私
「えっ。忙しいから無理」
北二郎
「この前もそう言って断ったろ。
待ってるから、準備できたら来いよ」
横暴だ。と思いつつ、なんだかんだ支度を済ませて助手席に座ると、車は滑るように走り出した。
行き先も教えてくれないまま、北二郎くんは得意げな顔でハンドルをきる。……何か企んでる?
◇◇◇
車は松坂屋名古屋店の南館の前に停まった。
先に私を降ろして、北二郎くんは駐車場に向かった。
私が南館に入ると、入口すぐの浴衣の特設売場の店員さんが恭しく迎えてくれて「贈り物です」と包みを渡された。同封されたカードに北二郎くんの荒っぽい字で私の名前が書かれている。
包みを開くと……浴衣が入っていた。
◇◇◇
浴衣なんて久々に着た。
南館7階のフィッティングルームを後にして、待ち合わせ場所の本館10階レストランフロアに到着した。
同じく浴衣に着替えた北二郎くんが壁にもたれて待っていた。ただ立っているだけなのに、憎いほどかっこいい。
私
「浴衣、ありがとう。
こんな素敵なもの、本当に私が貰って良いの?」
北二郎
「ああ。お前のために選んだんだ。
様になってるじゃねえか」
私
「そうかな……私、美人じゃないし、若くもないし。
浴衣なんて着たって、北二郎くんの隣に並ぶのは恥ずかしいよ」
ははは、と乾いた笑い声が勝手に出てくる。虚しい。
北二郎くんはけげんそうに眉間に皺を寄せた。呆れられてしまった?
途端、肩をグイと抱き寄せられた。
北二郎
「ほら、あれ見ろ」
耳元で低い声で囁かれる。北二郎くんが顎で指したのはワインセラー。
そのガラスには、北二郎くんと、その腕の中におさまる私が映り込んでいた。
北二郎
「どこに恥じる要素がある?色っぽくて綺麗じゃねえか。
つうか、そんな曇った顔じゃ似合うもんも似合わなくなるだろ。」
本当だ。私はとても不安そうな顔をしていた。
北二郎
「俺の見立てどおり、ちゃんと似合ってんだから……
つべこべ言わずに隣にいろよ」
私を抱き寄せる手に力がこもった。
……どうしよう。ドキドキする。
自分の浴衣姿を改めて見てみた。
紺色に白い花々がぱっちりと映えていて、シンプルな色なのに華やかだ。
大人っぽいのに地味じゃない。
……確かに、いつもより綺麗かもしれない。
……私、この姿、好きかも。
と、ガラスに映る自分の浴衣姿に少しだけ見惚れてしまった。
◇◇◇
北二郎
「……っと。そろそろ時間か。
アロマフレスカに予約を入れてある。」
ほら、と高級そうなレストランの前で手を差し伸べられて、私は慌てて後ずさった。
私
「ちょっと待って。浴衣を貰って、こんな素敵なレストランで食事って。
誕生日でもなんでもないのに。おかしくない?」
北二郎
「おかしくねえよ。今日は記念日になるからな」
私
「記念日?……何の?」
北二郎
「さあな?」
北二郎くんは悪戯っぽく、でも少し優しげに笑った。期待に胸がトクンと鳴る。
もう一度ガラスに映った自分を見ると、さっきよりも背筋をのばして、いい顔で笑っている。
勇気を出して、北二郎くんの手に手を添えてみる。ぎゅっと握り返された。
私らしく過ごせる夏が、ようやく動き出そうとしていた。
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、松坂北二郎とは関係ありません。
※贈り物の預かりはストーリー上の演出であり、通常のサービスではございません。
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〈アロマフレスカ〉
本館10階
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2022’ MATSUZAKAYA YUKATA COLLECTION(松坂屋のゆかた)
6月22日(水)→7月25日(月)
松坂屋名古屋店
南館1階 オルガン広場
営業時間:10時〜19時
※最終日7月25日(月)は10時〜18時
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