その四十四　日本初の地下鉄直結百貨店は松坂屋！

＃松坂屋ヒストリア小話　その四十四

1930年(昭和5)松坂屋上野店は日本で初めて地下鉄駅直結の百貨店となった！

わが国最初の地下鉄である東京の銀座線は1927年（昭和2）に浅草～上野間がまず開通し、1930年（昭和5）に上野～万世橋（※）間が開通した。この1930年の開通時に、松坂屋上野店の最寄駅である「上野広小路」駅が開業し、駅改札口から上野店地下食料品売場に直接入店できる連絡通路ができて松坂屋は地下鉄駅とつながる日本で最初の百貨店となった。実はこの「上野広小路」駅は当初の計画では建設予定に入っていなかったが、大衆化社会を迎え交通機関との連絡に着目した松坂屋が熱心に陳情・申請した結果、追加で建設された駅であった。申請時すでに線路工事は大半進んでいたが、浅草～上野間の各駅の区間距離が700m～800ｍであったのに比べ、上野駅と末広町駅の間の距離が1.1kmとやや長めだったことも幸いし、この区間に「上野広小路」駅が建設されることになった。このため上野～上野広小路の区間距離は500ｍとなり、現在でも駅間距離が短い銀座線のなかでも最短距離の区間となっている。こうして1930年（昭和5）1月の銀座線開通時に松坂屋上野店はめでたく悲願の地下鉄駅直結を果たしたが、なにぶん「上野広小路」の駅づくりは開通の半年前に始まったばかりだったので、開業時にはホームの装飾も間に合わず、松坂屋連絡通路も仮設のままだった。それでも線路の下には自由通路も掘られて、日本で最初のデパート駅がお目見えしたのである（ちなみに地下鉄銀座線「三越前」駅の開業はその2年後の1932年（昭和7）であった）。※万世橋駅は1931年（昭和6）神田駅開業に伴い廃駅。

上野広小路駅

地下鉄銀座線「上野広小路」改札